結局外来前の蒼先生は掴まえられなくて、外来の終わった頃に診察室の前に来てみた。
すると、診察室の中から看護師が出てきて。
「…蒼先生外来終わった?」
「あぁ、はい。今カルテかいてらっしゃいますよ」
「そう、ありがとう」
看護師が出たあと、俺は診察室に入る。
真剣にパソコンを見つめる蒼先生。
患者さん用の丸椅子に腰をかけて、結果をもう一度眺めた。
「……うわッッ?!
びっ……くりしたぁ…いつからいんだよ…」
「あ、すみません~今入ってきたところです」
「音がしなさすぎて怖い」
「…蒼先生真剣なんですもん」
「カルテの途中なのー…」
「カルテの途中の所申し訳ないんですけど…」
「…ん?」
「季蛍の結果、出てますよ」
「え、マジ?…本人がいないけど」
「あー……ちょっと拗ねちゃったかも…。俺さっき結構キツい言い方しちゃって」
「拗ねちゃった…って子供じゃあるまいし」
「いや、でも結果を蒼先生に見られたくないみたいで」
「…何、そんなに悪かった?」
「……いや……ぁ…」
パソコンをカタカタする蒼先生は、苦笑いを浮かべながら言った。