「あ、季蛍さん。陽の相手してもらっちゃって…ごめんね」
「いえいえ!!全然」
「……陽さん薬飲むときに一回だけ吐いたけど…後は大丈夫だから」
「そっか…迷惑かけたな」
「大丈夫だよ、ぜーんぜん」
「…ほんと助かったよ…1人だと何があるかわからなくて不安すぎ、マジで…。」
苦笑いした港は、一つの紙袋を俺に差し出す。
「これ、今日のお礼…って言ったらなんだけど…」
「…は?」
「季蛍さんが好きだって聞いたから。良かったら食べて」
紙袋の中には、マフィンがいくつか入っていて。
「は…?受け取れないよ…こんな……」
「ほんと、陽のこと…助かったから」
「だからって…マフィン……」
「ね?季蛍さん好きでしょ?」
「……え、」
顔は完全に喜んでいるのに、空気を読んでいるのか戸惑っている季蛍。
「……好き、です…けど……」
「ほんとに、ね?受け取って。お願い」
「………
なんか…ごめん…。 ありがとう…」