「…はい、りんご」 「……あり…がとう」 「目ぇとろんとろん。寝ちゃうんじゃないの?」 そういって笑えば、また頷きが返ってくる。 「泣きすぎて目、真っ赤」 「……ぅん」 「ごめん、俺のせいだな…」 「……なんで?」 「早く帰ってこれれば陽も辛い思いしなくて済むよな」 「そんなこと…ない…よ」 そう言って陽は一つだけりんごを手に取った。