「あら!いつの間に…」
鍋を持ってきた俺の母親は、俺を見てニコニコ笑う。
「あんたいいお嫁さんもらってよかったわねぇ~」
「……は?」
「こぉんな可愛いお嫁さん…滅多にいないわよ」
そういって鍋を置くなり、母親は陽のことを抱きしめる。
「……陽、随分気に入ってもらえたな」
そう言って笑えば、陽も少し笑った。
「迷惑だってー、そんな抱きつかれると」
「あら、ごめんなさいね」
「い、いや…」
「陽寒いんだって。…何か上着ない?」
「あんたの貸せばいいじゃない」
………。
「はい、陽」
着ていた自分の上着を陽に渡せば、首を振った。
「いい、大丈夫」
「……んなこと言うなって。遠慮するな、俺寒くないから」
「……うん」


