陽さんが帰宅したあと、待ちわびていたように俺の服を握った季蛍。
「……待たせてごめん」
「…グスン」
「……お粥食べてたの?」
陽さんの手の中にあったお椀を覗くと、卵粥が湯気をたてていた。
「…陽さ…ん……作っ…てくれ…た」
苦しそうに途切れ途切れに話す季蛍に頷いて
「そっか。……続き食べる?」
首を振った季蛍の隣に座って額に手を触れた。
「………愛優も風邪引いたって。今病院連れてった。
また我慢してた。……季蛍みたいに」
「………」
「……季蛍、明日病院行ってみる?
高島がいつでもおいでって。」
「………やだ」
「高島が季蛍と話がしたいって。今日連絡くれるって言ってたよ?」
「……やだ」
「ちゃんと出ろよ…?高島なんだから」
「…やだ」


