─────名前が呼ばれて立ち上がる。







「…ほら、季蛍もおいで」






「…やだ」







「……ハァ」







呼ばれたところまで行くと、かなり前からお世話になってる薬剤師の菜央ちゃん。







俺より2つほど年下の女性だけど、季蛍が体を崩しやすいせいか…よく会う。







「季蛍さん、また体調崩されたんですか?」








「熱があるだけ。……本人は辛くないんだとか」








「そうですか…。あ、これ解熱剤ですね。


食後に1日2回……ってもう蒼先生は大丈夫ですね」







そう言って笑いながら袋に薬を入れてくれた。







「蒼先生に薬の説明しても‘そんなことわかってる!!’って思われちゃうだけですね」






「…菜央ちゃん本当にネガティブだよね~。そんなこと思ってないって」








「ネガティブな訳じゃないです!」






そう言ってお薬手帳を渡してきた菜央ちゃんに少し笑ってしまった。







「ありがとう。今度季蛍とお茶でもしてやって」







「えッいいんですか?」







「季蛍は喜ぶと思うよ。……じゃ」








「はい、お大事に」