脇に挟んだ体温計の表示を覗きながら、鳴るのを待つ。
覗く体温計の表示は、ぐんぐん上がっていく。
7度ぴったりになったところで、見るのがイヤになって顔を上げた。
それから数十秒。
──ピピピピッ ピピピピッ
体温計の表示を見たくなくて、ずっと脇に挟んだままにしていると
「見せて、体温計」
寝室から出てきた蒼が手を差し出す。
しぶしぶ差し出した体温計の表示は、37.2。
「…微熱だね。あとこれ着替えて」
ソファの上に置かれた畳まれたパジャマ。
「……なんで?」
「だって汗かいてるから」
「……じゃなくて…私仕事行くよ?」
「…あのなぁ」
「だって微熱だし!!患者さんに迷惑ばっかりかけられないから…」
「一日寝てれば明日には治ってる風邪をこじらせて、明日また仕事に行かれなくなるよりいいだろ?」
「…風邪じゃない!!」
「季蛍…」


