トントン────
ガラガラッ………───
「あ。」
俺を見るなり高島は季蛍の椅子をぐるりと回して俺の方に向けた。
「季蛍、微熱があるんですよ」
「はぁ…?」
「なんか顔赤いと思ったらちょっと熱くて」
「…今朝頭が痛いって言ってたな」
「風邪の引きはじめですかね?」
「うーん…まぁ季蛍最近割とすぐに熱下がるからな」
そう言って季蛍の額に手を当てた。
「そんなに高くなさそうだし。疲れが出てんだろ」
季蛍は少し顔を上げて、また目線を外した。
「じゃあ帰るか。聴診終わった?」
「終わってます。…そんなに心配いらなかったみたいですね」
「だろ?最近発作が落ち着いてる」
「そうですか。何よりで」
「……あ、季蛍が薬飲んでるからか」
そう言うと季蛍はポケットから薬の入った透明の袋を出した。
「……これ」
「何?……薬」
「さっき…飲んだ分……。」
「さっき飲んだの?発作止め」
「……飲んだ」


