「あー……聴診器テーブルだ」
リビングのテーブルの上に置きっぱなしの聴診器をソファから見つめる。
「……もう…いいじゃん。やんなくて」
「高島に頼まれてるっつってんだろ」
「…………。」
「はぁ…」
もう一度季蛍を抱き上げ、リビングの机の上の聴診器を取った。
「…ったく、子供か」
「抱き上げたのは蒼じゃん!!」
「だってどうせ逃げるだろ」
「……」
もう一度ソファに座り、季蛍を膝の上に下ろした。
「深呼吸」
「だから嫌だって…」
「深呼吸」
「………」
深呼吸、と言われてしょうがなく深呼吸をする季蛍の頭を撫でてから、襟元のボタンを開けた。


