何十人もの心音を聴き、何十人もの子に
「……やだ」
と一回は拒否られる。
というか、高校生の女の子を何十人も診るなんて、滅多にすることじゃない。
………そんなことを思っていると、次の番の名前が挙げられた。
…………松星?
愛優……?
も…もしかして。
愛優ちゃん…………?
蒼先生の………。
少し俺もどきどきしながら、彼女が入ってくるのを待った。
入ってきた彼女は、俯いていて…。
それでも蒼先生の面影がある。
ただ、やっと顔を上げてくれたと思ったら…その顔色が悪かった。
「………」
でも、ろくに話を出すと…変態だとか言われそうだから。やめておく。


