どうしても熱があることを認めたくなくて、カルテや資料をぼーっと見ていると、隣に気配を感じた。
「……蒼、熱があるんでしょ?」
「……季蛍」
「高島先生が来て言ってくれた。」
……それで高島は医局を。
「私昼食入ったけど…蒼行かないんじゃ私も行かない」
「行ってこい、俺のことはいいから…」
「やだ。……蒼熱上がってるんじゃない?顔赤いよ」
季蛍の手が伸びてきて、俺の額に触れた。
季蛍は手の甲も額に当てて、そのあと首元にも触れた。
「…熱いよ、蒼…」
「頭が痛い。熱はない…」
そう言うと季蛍は机の上の体温計を手にして、
「計んないとダメじゃん」
と俺の白衣の隙間に手を入れた。


