「……蒼くん…いますか?って」
「うん………それで?」
「それで……いないですって言ったら…。いろいろ……聞かれて…」
「何て?ゆり子ちゃん気が強い子でしょ?傷つくようなこと…言われたの?」
「……子供は今家にいるのかとか…今蒼とうまくやってるのかとか……」
声をだんだんと小さくして、季蛍は言った。
「子供のことと俺のこと聞かれたんだ?季蛍のことは?」
「……正直蒼くんがこの人と結婚した、っていうの見て…蒼くんのこと……ッ…。
蒼くん…の……こと……見損なったって…言われてッ……」
「………」
「ごめんね、こんな私と結婚しちゃって…、こんな私の子供生まれて…」
俺の服に顔をうずめたまま、季蛍は言う。
「……そっか。ゆり子ちゃんそんなこと言ったんだ。あの子気が強い所があるから」
「……ッ優しい口調だったけど、……すご…く怖かった…ッ」
「…………」
抱く季蛍の背中をトントン叩きながら、俺は季蛍の髪を撫でる。


