結局リビングの食卓に残されたのは俺と季蛍。






季蛍は睡そうに目をとろつかせながら、ぬいぐるみを抱いている。






「……口開けて」







「……」








いますぐにでも眠ってしまいそうな季蛍は、豆粒が入るか入らないかくらい口を開けた。








そこに小さく切ってあげた人参を入れる。









「食べて」







「………」








一応口は動いているけど、意識があるのかないのか……ぼーっとしている。







俺もそんな季蛍の向かい側で残った鍋に手をつける。







「…季蛍、もっかい口」








また開いた口に豆腐を入れる。







……季蛍はというと、ほとんど目を閉じて口だけ動かしている。






……子供にしか見えない。