季蛍の目の前に置かれたお皿は、空のまま。 季蛍もお鍋に目を向けようとしない。 季蛍はずっと腕の中に抱えられたぬいぐるみに体を預けている。 「……季蛍、お皿ちょうだい」 「……」 「入れてやるから」 「……」 余計ぬいぐるみに顔を埋めてしまった季蛍のお皿に手を伸ばして、適当に具材を盛った。 「ほら、食べてみ。」 「……いらないってば」 「食べないと薬が飲めないだろ」