「もう私赤ちゃん産まない…」
陽がそんなことを言い出したのは、俺が帰って夕食を食べているときだった。
「……どうした?」
陽の作ったご飯に手をつけながら、俺はソファに横たわる陽に聞いた。
「……こん…な辛い思いするなら産まない」
そう言う陽の声は酷く震えていた。
「……そんなこと言うなよ。辛いのはわかるけど」
「…気持ち悪い、吐きそ…」
陽がそう言うので、俺は席を立ってテーブルの上に用意されていたビニールを取った。
ソファの側に腰を下ろして、目をつぶって横たわる陽の頭を撫でる。
「陽、……吐く?」
「……ん」
「じゃあ起きあがって?……ソファ座りな」
そう言って体を支えてあげれば、陽はビニールを受け取って。