「やだぁッ!!帰りたい!!夏来んとこ行くーッ!!」
「季蛍ッ、」
病室を出ようとする季蛍の腕を引いて、中に連れ戻す。
季蛍はそれを拒否するかのように、俺の白衣を引っ張ってきて。
「高島来て暴れてたってわかったら怒られると思うけど?それでもいいのか?」
「……ッ」
「………高島来て、熱計って、それから高島と話して。……話はそれからだ」
「……ッグス」
「すぐ泣く…。」
「ッ……蒼のばかぁっ」
ガラガラガラ………───
「すみませーん、遅くなりましたー」
「あ。高島」
「何ですかぁ~?またもめてるんですか?」
「揉めてない。帰ろうとした季蛍をとめただけ」
「帰ろうと?……まぁ帰りたくなりますよね、こんな長期間ベッドの上だと」
そう言って高島はいすに座った。


