「どうしたんだよ。いつもなら点滴嫌がらないのに」





「………」







「はぁ………。本当に構ってちゃんだな」










そう言って涙目の季蛍を抱き寄せた。









「無理に入院させてごめん。……季蛍すごい嫌だった…な?




でも…季蛍を思ってのことなんだ。ごめんな」











「……ヒッグ」










「熱が下がって、体調が良くなったらすぐ退院しよ?」









そう言えば少し笑った。











「……点滴だけ刺したら俺仕事行くよ」









「…も……う?」










「うん。……今日新患来るの」











「……そっか」











「顔色悪いな。もう寝た方がいいよ」









そう言いつつ季蛍の細い腕を掴む。











「やだ、点滴やだッ…」










「じゃああとで高島にやってもらう?」










「……やだ」











「目瞑って。息吐いて。腕の力抜く」










「…………」









ゆっくり目を閉じた季蛍を見てから、点滴を刺した。









刺した途端腕を引っ込めようとしたらしいけど、なんとか我慢したらしい。









そんなに痛いか……?












「よし、じゃあ俺行くね。何かあったら呼んで」










コクリと頷いた季蛍を見て、俺は部屋をでた。