外はまだ肌寒く、上着がないと震えるくらい。
それでも春なんだと思うと……今年の春はちょっと気温が低めなのか?
とも思う。
病院につけば顔見知りの人を見つけ、よく目を凝らせばそれは港と陽さんで。
入り口付近で何やら言い合っていた。
随分と早く病院に来たなぁ…と思いつつ、近づいていけば、俺に気づいた港が少しはにかんで。
「……おはよ。どーしたの…そんな怖い顔して」
「……いや。陽のこと病院につれてきたんだけど。どうしても帰るって」
「……陽さんどうかしたの?」
「…………」
黙って恥ずかしそうに港の後ろに身を隠す陽さん。
「…ちょっと熱があるんだよな?陽」
「…………」
港の服を握った陽さんは、少しだけ顔を覗かせて頷いた。
「昨日からずっと熱あるの黙ってて。我慢してたから病院行こうってことになったんだけど…ほら、こんな早いとどこもやってなくて。
結局こっちの病院の婦人科行こうかなって…」
ため息と苦笑いを交えて、港はまた笑った。
「……俺午後は用事あって連れて来れないからさ」
「……陽さんも大変だね、初めての赤ちゃんだもん」
「……。
蒼も今日…早くない?」
港に言われ、俺もこんなにのんびり話していし時間はないと気づく。
「ごーめん。俺季蛍待たせてるんだ、じゃっ…」
港の
「蒼も大変だよな……」
なんていう呟きを背に、俺は季蛍の元へ急ぐ。


