ガラガラ………───





ベッドの上に座る季蛍は、グスグスと涙をこぼしていて。








「…どうした?吐いたってな」








看護師の言う通り、すごく顔色が悪い。








「熱計る?」









季蛍の隣に座って聞いてみても、季蛍は








「蒼」








としか言わない。










蒼先生を呼んでるのか…。











「……また吐く?」










涙を貯めた季蛍は、ゆっくり首を振った。








「蒼、」













昨夜から今朝にかけて蒼先生が顔を出さなかったから、季蛍的に不安なんだろう。










「…蒼先生まだ来てないと思うよ?だって……ほら、まだ朝の5時」








「…やだッ」









「蒼先生当直じゃないし。…いないよ、まだ」










「やだぁッ」










「…だってまだ来てないんだもん。しょうがないでしょ?」









「やだあッ……ッケホケホ、ッコホコホッ…」










「……困ったな」