「約束して来たんだから。やだって言って許されることじゃないよ」
季蛍の服の裾を握ると、季蛍の目からは涙が落ちる。
「……何がそんなに嫌なのか。俺には理解できないんだけど?」
「やなの!!」
「……高島なのに?何年間も高島なのに?」
「……高島…先生……は…」
少し言いづらそうにする季蛍に、高島は
「蒼先生は緊張するから嫌なんだよね。僕には緊張のきの字もないっ……てな、ハハ」
そう言って俺が握っていた裾を軽く持ち上げ、隙間から聴診器を入れた。
「……何年もやってきてることなんだから。いい加減慣れなきゃな」
そう言って高島は腰を下ろす。
「……」


