「高島ー…」
ちょうど患者さんとの間なのか、高島はパソコンに食い入っていて。
「あ、蒼先生」
「吸入ある?」
「……あ、」
白衣のポケットを探った高島が、右から出して
「ありますよ。季蛍、今も続いてます?」
「さっきからずっとこうなんだよ。…どうしたんだろ」
座り込んでしまいそうな季蛍を診察室に押し込んで、扉を閉める。
「……次の患者さん、まだ来てなくて。だから大丈夫です」
「あ、そう。良かった」
「……季蛍、吸入」
高島が季蛍に渡しても、反応すらしないので、高島が口元に持ってってくれて。
「…ほら、吸って」
「…ッ」


