家につくと、真っ先に寝室へ逃げ込もうとする季蛍の手を掴む。
「待て。…話があるんだけど」
「やだ、聞きたくない」
「季蛍」
少し強めに言えば、季蛍の抵抗する力も緩み、リビングの椅子に座った。
俺はその隣の椅子に座って、俯く季蛍の顔を手で上げる。
「……もう泣く」
「泣いてな…ぁッ…」
目に涙をいっぱい溜めた季蛍の頬に、一粒涙がこぼれた。
「……今朝俺言ったよね?」
「……大丈夫だと思ったんだもん」
「自分で体調管理ができないようじゃ…だめでしょ?
俺もいつも見ていられるわけじゃないんだし。」
「…自分でできるもん、蒼に言われなくたって」
「俺が言わないと季蛍は限界を超しても頑張るだろ…だって」
「…………」


