嫌な予感がして、お粥のお盆を両手に寝室へ入ってみると。
「んんぁあ゙…」
ベッドの上に眠る蒼の顔の上に置かれた雑巾。
「えっ」
どういうことだと思っていたら、夏来が満面の笑みでベッドの中から出てきて。
「な、夏がやったの…?」
「ぱぁぱに冷えピタやったの~」
「………」
「季…………蛍」
助けて、と言わんばかりに声を漏らす蒼。
恐る恐る雑巾を摘まんでどければ、深くため息をつく蒼。
「…あはは、夏来のせいだ。ごめん」
「……」
「大丈夫?」
「……だめ」
「お粥、食べる?」
「…あとで………置いといて」
「うん…冷めないうちに食べてね?」
「うん」
ニコニコの夏来を抱き上げて寝室を出た。


