熱と火傷。






これさえなければ芙羽を喜ばせることができたのに。









ただ、芙羽だけには、体調の良い私が作った夕飯を…








『おいしいよ』








って食べて欲しかったから。












病人の作った料理を食べたがることなんて…絶対ないから。










芙羽に黙ってるのは悪いけど、知らない方がきっと芙羽も…そっちの方がいい。












「……おかえりー!!」









キッチンから出た私は、いつもと変わらず芙羽に抱きついた。











「ただいま。……いい匂いするね。頑張った匂い」










「うん、頑張ったの!!」











「そっか。楽しみだよ」










「…んー……でもあんまり期待しない方が」












「期待するに決まってんじゃん。凜の頑張った夕飯」










「………」