───病室に戻ると座って泣いている果織ちゃんと、それを慰める島内さんの姿があった。
「……おはよ。果織ちゃん」
「…お……はよ…」
「……果織ちゃんに言いたいことはたくさんあるけど…ちょっと最初は…診せて」
コクリと頷いた果織ちゃんの目に溜まった涙が、一筋の線を作って伝った。
「……どうして外なんかにいたの」
聴診器を滑り込ませて聞いてみる。
「………」
「家に帰りたくて外にでたの……。?」
「…………」
「発作も出たよね」
聴診器を抜いて果織ちゃんの目の前に腰をかける。
「……あのね?果織ちゃん。
病院を抜け出すなんて……やっちゃいけないことだよ」
「……」
「家に帰りたくても…病院を抜けるなんてこと…絶対ダメ。」
「…蒼先生にはわかんないっ」
「そうかもしれないけど!……ダメなことはダメ」
「何がダメなの?わかんない……、別にもう治らなくたっていいもん!!
家に帰れればそれでいい、もう薬なんて飲みたくないっ!!」
「………………」
「…ッグス」
「…果織ちゃん…。今までどれだけ薬飲んできても…ちっとも変わってないって思ってる?
大丈夫だよ……ちょっとずつ良くなってるから」
「………ッグス」
「……ね?まだ頑張れるよね?」
「………う…ん」


