「蒼先生には?」
静かに首を振った季蛍。
「…わかった、じゃあ今から俺の診察室行こう」
「……」
「薬、変えなきゃいけないかもしれないから」
「………」
「季蛍」
「……だって」
「大丈夫、蒼先生には今は秘密にしておくから」
「………。」
「季ー蛍」
「……はい」
頷いて立ち上がった季蛍の手を引いて、振り返ると、ちょうど医局の外で蒼先生と看護士が話しているところで。
「……や、だ」
俺の腕を引っ張って後ずさりする季蛍が、蒼先生を見て首を振る。
「……なぁ、季蛍…あのさ…」
「高島ーっ」
「あっ、はい」


