そうして数十分後。
玄関がやっと開いた。
「ただいま、ごめん。急いで帰ってきたつもり」
そう言ってパパは荷物を玄関に降ろす。
「……ごめん、季蛍辛かったな」
玄関の所に、まるで飼い主を待っていた子犬みたいにパパを見上げるお母さん。
その肩は私にも分かるほど上げ下げしていて。
「……苦し」
玄関にしゃがんだパパは、座り込むお母さんのことを抱いて
「……長かったな」
と言ってから
「リビング行こ、ここ寒いから」
とお母さんを抱き上げていった。
元からお母さんの体が強くないこともあるんだけど、やっぱりあんな2人を見ていると…どういう顔をしてそこへいればいいのか。
わからなくて…少し引きつった笑顔になってしまう。
だって………パパがお母さんを抱き上げてる姿を見るって…
恥ずかしいじゃん……。


