ひんやりとした空気の中、目が覚めた。ボーッとする頭を抱え、辺りを見渡す。

黒瓦の二階家が目の前に見えて、誰かの家の庭なんだな…というのは分かった。でも…

(何処だろ…ここ…)

頭痛もするし、頭も重い。
背中をもたれていた大きな庭木に手をついて、ゆっくりと立ち上がると、男物のジャンパーが足元に落ちた。

(…誰の…?)

どうやら誰かが、掛けていてくれたらしい。でも、辺りに人影はない。
ハッキリしない頭で、何がどうなっているのかを考えていたら、左手に見えていた温室から、一人の男性が歩いて来るのが見えた。
頭にタオルを被り、軍手を外しながら近づいて来る人を確かめようと目を細めた。

(…あれ…?…ノハラ…?)

頭重と眠気で視界がボンヤリする。
でも、近くに来て、声をかけられると確信した。

「目、覚めたか?」

昨夜と同じ服装。やっぱりそうだ。

「……ここ、ノハラん家⁈ 」

キリキリ痛むこめかみを、指で押さえた。

「おうっ」

「…なんで私…ここに居るの⁈ 同窓会は…⁈ 」

フラフラして木にもたれかかる私の足元から上着を拾い上げると、ノハラは呆れるように言った。

「とっくに終わったよ…っても、お前、酔っ払ってたから、何も知らねーだろーけど」