シオリとの食事があったその後、ジョージはシオリのことを少し心配したが、それでもそれを気に病むことはなかった。


「どうせ、言ったところで直りはしない」


これがジョージの本音である。


今まで、他の女性から同じような恋愛相談も受けたことのあるジョージは、そういう女性が“結局は彼氏に見切りをつけない”のを知っている。


そういう女性は、「自分のツラさを知ってほしいこと」とか「正直に話して懺悔する気分」とが、その場で味わいたいだけなのだ。


ジョージは自分の彼女についても、同じ見解を持っている。


ジョージが彼女に対し、親身になって“こうしたほうがいい”と穏やかに語っても、どうせ、返ってくる言葉は「でも」と「だって」が、必ず吐き出しの言葉の先頭にやってくる。


従って、シオリのことについても、食事後、ジョージから送るメールの返事が無いこともあって、「そんなもんだよ」と諦めていた。


親身になった他人を必要以上に信じるほうがバカなのだ。