ところが、シオリはそういうつもりであっても、彼女の日々蓄積されている疲労と元気の無さを、シオリの家族は確実にとらえ、その理由が明確に分からずとも心配していた。


彼女自身は何も言わないが、何をするにしても、家族の前で重いため息ばかりを吐いている。


数日後、シオリの姉は、そんな妹に対し、「何か悩みがあるなら、誰かに相談してみれば?」と、彼女の負担の軽減を願って声をかけた。


「そうね」と、シオリは小さく頷くと、ジョージの存在を思い出す。


そういえば、以前にメールで就職の話をして、『ご飯をおごるよ』と返事をもらって以来、ジョージに対してシオリは何もリアクションしていない。


そのことも思い出すように、シオリは以前からのジョージとのメール内容をもう一度読み返してみた。


しかし、“相談”と姉から言われても、具体的に何をジョージに話せばいいのか分からない。


「どうしよう」と考えているとき、偶然のようにシオリのケータイに、ジョージからの電話があった。