しかし、シオリは友彦との交際を家族やわずかに残った友人が応援してくれることや、友彦が常に自分の味方であることで何とか平静でいることができた。


従って、シオリはそういうウワサについては気に病むことを止め、自分を応援してくれる人間に対してだけ心を許そうと考える。


「私が苦しかったことも誰も知らないくせに」と、シオリは世間に対する自分の評価を憎んだ。


ただ、やはりそれと同時に、その誤解を自分から離れた“和志側についた誰か”に伝えたいと思う気持ちは、常に心のなかには持っていた。


が、それを考えるだけ「無駄な時間」だと、シオリは自分自身に言い聞かせ、鬱蒼とする気分を友彦と居る時間や、自由奔放に楽しむ時間で解消したのだった。