自己完結した和志との関係後、シオリはシオリで友彦との恋愛を充分に楽しんでいた。


友彦も和志と同じように、自分の趣味でシオリを放置することがあったが、その後のシオリへの対応が和志のときとは雲泥の違いがある。


友彦のことを未だよく知らないシオリは、彼からの男らしい発言と甘いささやきを至上のモノだと考える。


また、シオリも放置の間に自由奔放な生き方を身につけたので、そうやって放っておかれる時間で友人たちといろいろな場所に出掛けて、刺激を受けることが実に心地良かった。


だが、そうやってはしゃいで出掛けても、以前まで仲の良かった人たちのシオリに対する“ぎこちない態度”に、シオリは次第に違和感を感じるようになる。


それが気になって、シオリは自分の情報網からその理由を探ると、そこに自分の快くない噂が流れていることを知ったのだ。


「多くの仲間に好かれている和志への裏切り」


「和志の先輩にあたる友彦が常識もなくシオリを奪ったこと」


「それらを一切考えていないシオリの女性としてのだらしなさ」


シオリはそれを知ってショックを受けた。自分のつらかった思いが誰にも通用していない。