「苦いチョコも嫌いじゃないでしょ」 玲はニヤリと笑みを浮かばせた。 チョコが私の口の中でゆっくりと溶け始めている。 苦味のあとから甘い味がとろけ出す。 あと20㎝くらいの距離に玲の顔があって……。 どんどんどんどん玲の顔が近づいて私の口元でピタリと止まった。 やばい、身動き取れない。 金縛り?!唇が震えてきた。 「チョコくさ」 鼻でフッと笑って近かった距離も離れていった。