――学校


「なぁ?一」

 柾は、一が席についたのを確かめるとそう尋ねた。

「柾くんおはよう。
 どうしたの?」

「いや……
 どうやって万桜ちゃんを助けたのかなと思って……」

「秘密」

 一が、そう言って小さく笑う。

「なんだよそれー」

 柾が不満の声を大きくあげる。

「朝から大きな声を出してどうしたの?」

 茂が、そう言って現れる。

「茂ー。
 コイツ万桜ちゃんの救出方法を教えてくれなかったんだぜ?」

「まぁ。
 助かったんだ、そこは気にしなくていいんじゃないのか?」

 達雄が、そう言うと柾が不満の声を出す。

「気になれよ!」

 達雄は、小さく笑うと一の方を見る。
 達雄には、わかっていた。
 一が、能力者であることを……
 そして、それを隠していることも……

「男は、そんなこと気にしちゃダメ……」

 静香が、そう言って笑う。

「しつこい男は嫌われちゃうぞ」

 みゆきが、そう言って笑う。

「う……
 お前ら突然現れてなんだよ?
 そんなに責めなくていいだろう?
 気になることを聞いちゃ悪いか?」

「まぁ、そんなことよりさ。
 転入生が来るらしいよ?」

 みゆきが、そう言うと達雄が首を傾げる。

「転入生?」

「うん」

 みゆきがうなずく。

「とっても可愛らしい女の子」

 静香が、静かにそう言うと柾が食いつく。

「女か?
 茂、そいつお前の彼女しろ!」

「え?なんで?」

 茂は、突然の言葉に驚く。

「この中で、童貞なのはお前だけだからだ!」

 柾の言葉に茂は深く傷つく。

「え?達雄くんと一くんは?
 ってか、柾くんも?」

「気づいてなかったの?
 静香と達雄。
 付き合っているんだよ?」

 みゆきの言葉に静香が照れる。

「え?じゃ、一くんは?」

「一のやつ生意気にも歳上の彼女がいるんだぜ?」

 柾の言葉に一も照れる。

「柾くんは?」

「俺は、サッカー部のマネージャーと……」

 柾も照れ笑いながら答えた。
 茂は、少しショックを受けた。