時は流れる。
 一瞬のようでゆっくりと……
 時代は移り行き茂たちは、16歳へと成長した。

 高校1年生の冬休み。
 茂は麻友の墓前の前に立っていた。

「麻友ちゃん来たよ」

 茂は、そう言って手を合わせた。

「……茂。
 やっぱりここに来ていたのか」

 そう言ってメガネを掛けた美少年が立っていた。

「達雄くんどうしたの?」

 茂が、達雄に尋ねる。

「『どうしたの?』じゃない。
 今日の食事当番はお前だろう?」

 達雄がため息混じりにそう言うと茂が間の抜けた声で言葉を出す。

「そうだっけ?」

「ああ。
 静かひとりで買い出しに行ったぞ。
 早く追いかけてお前も商店街に行って来い」

 達雄がそう言うと茂は大きく息を吸い込む。

「じゃ、麻友ちゃんまたね」

 茂は、そう言ってゆっくりたちあがる。

「ああ、行って来い」

 達雄がそう言うと茂は、ニッコリと苦笑いを浮かべた。

「うん。
 ありがとね」

 茂は、そう言って駆け足で麻友の墓前を去った。


――商店街


 茂は、ひとり商店街に向かった。

「おい……」

 すると黒髪に短髪。
 ピアスはしていないもののいかにも不良といった感じの男子学生が茂に声をかける。

「なに?」

 茂は、そう言ってその少年の方を見る。

「なんか食い物持ってないか?」

「持ってないよ」

「そうか……」

「中居くん、お腹空いているの?」

 茂は、その男子学生の名前を呼んだ。
 このいかにもガラの悪そうな少年の名前は中居 柾。
 茂の友人のひとりだ。

「ああ、そうなんだ。
 もう腹ぺこでさー
 母ちゃん夜にならないと帰ってこないし……」

「そっか……
 じゃ、何か作ろうか?
 今日、僕が食事当番なんだ」

「ああ!是非!お前の作る飯は美味いからな!」

 柾は、嬉しそうに笑った。