勝也は、跳ねる。
 ナイフを避けるため、天井を壁を床を跳ねる。
 ナイフは素早く勝也を襲ったが勝也はそれよりも素早く動いていた、

「すばしっこいやつめ……」

 小十郎が、舌を打つ。

「お遊びは、もう終わりだよ!」

 勝也が、そう言って素早く動き小十郎の背後に回る。
 しかし、小十郎は笑みを浮かべる。

「だが、終わるのはお前のほうだ……!」

 小十郎が、そう言って目を押さえる。
 勝也は、警戒し間合いを取る。

「やっぱりお前も能力者か?」

 勝也が、そう言うと小十郎の表情が凍りつく。

「お前は誰だ?」

 小十郎が、後ろを見ようとしたとき小十郎の体が宙に浮く。
 そして、そのまま壁に激突する。

「なんだ?」

 勝也が、小十郎の後ろにいた少年の方を睨む。

「そう、睨むなって」

 少年は、そう言って笑う。

「御茶ノ水(おちゃのみず)副課長?」

 南が目を丸くさせて驚く。

「副課長?」

 勝也が、首を傾げる。

「私たちの上司です。
 ああ見えて6歳」

「失礼だな……
 見た目も6歳だ!」

「話し方がおじさんくさいです」

 南が、そう言ってため息をする。

「クソが……
 俺の未来が敗北だと?」

 小十郎が、ゆっくりと立ち上がる。

「まぁ、俺が出てきたからな。
 お前程度では俺には勝てないさ……」

 少年の名前は、御茶ノ水 博士(おちゃのみず はかせ)。
 階級は、副課長。
 南と百寿の上司だ。

「まて、そいつの相手は俺だ!」

 勝也が、そう言うと博士が笑う。

「この戦いは、お前だけの戦いじゃない」

 博士が、そう言うと一方的な攻撃が始まった。
 小十郎は、動けない。

「何故動けない?
 そんな顔をしているな」

 博士が、小十郎に尋ねる。
 小十郎は小さくうなずく。

「それは俺が水使いの能力を持っているからだ。
 人間の体は、ほぼ水だろう?」

 博士が、そう言って笑うとそのまま小十郎の体に一撃を浴びせた。
 小十郎の意識が、遠のく。

「さぁ、茂。
 ドレインしろ」

「何を言っている?」

 勝也が、尋ねる。

「お前に言っているんじゃない。
 茂に言っているんだ。
 勝也、茂と交代しろ」

 博士が、そう言うと勝也は舌打ちを打ったあとすぐに茂と交代した。

「ドレインってどうするの?」

 勝也と変わった茂が、尋ねる。

「難しい話じゃない。
 この男に触れてドレインと言うだけだ。
 早くしろ」

 博士がそう言うと茂は、静かにその言葉に従った。

「……ドレイン」

 すると茂の目が熱くなりその場にうずくまった。