無事に卒業式を終えて、6ヵ月たった頃。
「宮田さん元気かなー?」
その言葉を発したのは吏祈。
宮田さんは俺達が小さい頃から世話になってた児童施設の主、宮田昭宏さん。
「卒業して、仕事もして、金も貯まったんだぜ?そろそろ帰らねぇか?」
吏祈は「「な?戻ろうぜ?」」と俺達の顔を交互にみつめる。
確かに宮田さんに会いたい。
でも、もうひとり会いたい奴がいる。
――― 幸那。
あの頃の俺とは違うんだって…
ただのガキじゃねぇんだって…
幸那に見てもらいたい、認めてほしい。
会いたい。
この1年と半年。俺は幸那を思い続けた。
俺達は来週の日曜日に急遽、地元である田舎に帰ることになった。
