見送りの日、幸那は笑っていた。


みんなにばいばい!またね!とかゆってる。




俺は先に車に乗っていた。



記憶では見知らぬ人の俺に別れの言葉なんて

ないだろ?



ただ俺自身が辛くなるだけだ。




みんなが車に乗り込む。



助手席にいた俺はサイドミラーを見た。





俺のかしたマフラーを手に俺のところへ

走ってきた。




「これ、ありがとう!」

「…は?お前おもいだしたのか?」

「うん、昨日の夜に少しだけ…ね」



幸那はにこっと笑った。



「凌也、話してきなよ、後悔するよ」



薫さんの言葉に少しだけ時間をもらった。