「大丈夫か?」

「…うん」



もう作り笑いをすることをやめたみたいだ。

泣きそうな声で、少し震えていた。



大丈夫なわけねぇのに大丈夫か?って

俺、めっちゃ馬鹿だな。


どうしたらいいのかわかんねぇ…。



「なんで龍月がいいんだ?」

「……必要としてくれるから」



幸那の答えがあまりにも意外すぎて

俺は言葉をつまらせた。



必要?殴るためにか?欲を満たすためにか?



俺だってお前を…、

幸那に惚れた時からお前を必要としてた。



龍月が好きなんじゃないのか?

必要とされるからなのか?



「龍月のこと…好きなのか?」

「……必要って言ってくれるから好きだよ」

「は?真面目に答えろ。それって愛?」

「………」

「なんで黙んの?」

「恋愛じゃない。ただ側に居てほしいの。」

「龍月に?」



幸那は涙をゆっくりと流した。









「誰でもいいから側にいて欲しかったの…」


 





これ以上聞かなくてもわかった。



俺が幸那をひとりにしたからだ。

寂しい思いをさせて、別れたからなんだ。







こいつが辛い思いをしてるのは俺のせい。






苦しめたのは付き合ってた頃だけじゃない。


俺のせいで、今も苦しんでいる。




とことん最低な奴だな、俺は。




隣に居ても、離れても、きっと死んでも

幸那を苦しめることになるんだろう。