「お〜!志音!久しぶりだな!」
「おう」
志音は唯一、後輩で俺達にタメ口を使える。
「凌兄なんかかっこよくなったな!」
「そんなに昔かっこわるかったか?」
呼び方は りょうにぃ とか後輩っぽい。
これは自ら望んでる呼び方らしい。
「凌兄、幸那のことだけど……」
「彼氏いんだろ」
「……わかってたのか」
志音は切なそうにうつむいた。
「……なあ、凌也」
優大は真剣な表情で俺を見つめる。
「俺達、憐さんに聞いちまったんだよ…、その、彼氏がDVしてるって…。」
……憐さんもわかってたのか。
「なあ、志音もわかんだろ?」
優大の言葉に志音はゆっくりと頷いた。
志音は切なげに…俺を見つめる。
「どうしようとも思わねぇのか?」
優大は黙ってる俺に尋ねる。
「聞いてんのか?おい!凌也!」
「俺になにができんの?」
「は?なに開き直ってんだよ!!」
「開き直ってねぇよ」
「元はお前が幸那を壊したんだろ!?」
「………」
「幸那が知らねぇ男のせいで怪我してんだぞ?守らねぇのか?助けねぇのか?なんもしねぇでまた…また泣かせんのか!?」
俺に掴みかかる優大を翔と龍太と志音、三人
がかりでとめる。
なにやってんだ、俺は。
俺部屋を出た。
待てよ!
後ろから叫ぶ優大の声なんて
今の俺には1ミリも聞こえなかった。
