今日は康介とデートの日。
これでやっと1回目。
近くのアウトレットに遊びに行く。
多分これが最初で最後のデートかもしれない。
お互い受験生だし、この土日で部の休みは無くなる。
総体も近いから練習に力を入れないといけないからって。
だから最初で最後。
私から誘った。
康介も誘いたかったみたい。
タイミングがわかんなかったって言ってた。
不器用さはご健在のようです。

私の服装は至って普通。
あんまりオシャレじゃないんだよね。
悪く表すと単純コーデ良く表すとシンプルコーデ。
中の中って所だ。

待ち合わせ場所は時計台の前。
ほぼ同時に集まった。

「か、可愛い…」

康介の本日の第1声。
こぼれたように、呟かれた。

【ありがと!康介もね〜】

康介は高身長だからファッションもしやすいんだと思う。
服、似合い過ぎ。
何気に頬のガーゼがカッコ良さを引き立たせる。
まるでモデルさんみたい。
表情とか……。
って、これはいつもどおりか。

「…サンキュ」

お互いに初デートだもんね。
いつもは目を見て話す私たちだけど、今日ばかりは目を合わせるのにも照れてしまう。
さり気なく目を逸らしてしまう。

「ん…………」

スッ

手を差し伸べられる。
あの日を思い出してしまう。
確か、あの時は私が一方的に避けたんだよね。
でも、今は違う。

キュッ

大好きな彼の手を握れるのは私だけ。
誰が避けるものかっ。

私たちは指と指を絡め合わせて手を握った。
《恋人握り》ってものですわ。

「なんか、恥ずいな…」

そっちから誘っておいて今更恥じてどうする。
不思議と笑みがこぼれる。

「…でも、たまにはいいかもな…」

ちょっとだけ見せてくれた笑顔は久々に明るいものだった。
太陽よりも眩しくて、月よりも綺麗で……。
この笑顔にやられたんだよね。私。