無声な私。無表情の君。

部員にはモップをかけるよう言っておいたから10分弱なら、時間も稼げただろう。
それが俺へのタイムリミット。

なんの情報も手掛かりもないのでひたすら走り回る。
1階、２階、３階、４階。
どの階にもある［廊下は走るな！］のポスターなんか目にも入らなかった。

ただひたすら愛を探した。
けど学校中のどこにもいなかった。
行ってないのは校長室とか放送室とかそこら辺。
でも絶対いないよな。
まさか帰ったとか？
いや、愛なら何かしらの形で文章を残して帰るはず。
……だとしたらどこ？

ーー体育館裏ーー

ふと、その場所が頭の中に出てきた。

まさか、な。
今の俺じゃあるまいし。
今はノータッチとか書いてたけど実は強がってるとかないよな…。
こういう時は、嫌なことばかり思いついてしまう。

急いで体育館裏へ向かう。
最初に見ておけばよかった。
今更思ってしまう。

｢ハァ……ハァ……｣

息も切れだした。
そうだよな。なんたって1階から４階まで校内ほぼ全力疾走したんだもんな。
息だっていれるわ。

｢ハー……ハー……ハァ…｣

いない。どこにもいない。
まさか本当に帰ったのか？
タイムリミットの時間も近い。
それなら配布物だけ配って解散してから探そう。
絶対にどこかにいるはず。
直感だけど確信だけがあった。