職員室を出ると、吉川君に会った。

「あ、ありがとう」

無駄に戸惑っていた。
ちょっと汗ばんでる?

「それ、持つよ」

と言って、配布物をすんなり持っていかれた。

「じゃあ、行こうか。体育館」

コクリ

歩くスピード、相変わらず早いなぁ。
小走りでついていく。

体育館に着くと、もう皆着替え終わって1年生がモップをかけていた。

「愛ちゃん、遅いよ!心配したんだからっ!」

稔人君が言った。

【ごめん、ごめん!】

確かにあれだけ先生と話していたら時間も結構過ぎたみたい。
迷惑かけちゃったな……。
笑って謝る。

「そんなに謝ることないよん、俺にはね~」

稔人君はニヤニヤ吉川君の方を見ている。

「……こっち見んな」

「あるぇ~?かの有名な無表情主将が少し照れてるぞ?」

本当だ。少しは顔が赤く火照ってる。
……気がする。