無声な私。無表情の君。

………。1日がこんなにも長く感じたのは初めてだ。早く学校終わって欲しい。
今は丁度昼休みに入ったばかりの時間。暇すぎるので図書室に行ってみる。
うちの学校の図書室は案外広い。多分、3年間で図書室にある本の4割も読みきれないと思う。私だって読書好きだけど、知らない本の方が圧倒的に多い。
文庫本を3年間で制覇しようと考えている所だけど、それすら無理そう。

さて、今日はどんな感じの本を借りようかな。
恋愛系?アドベンチャー?感動系?
ホラー?エッセイ?ファンタジー?
だめ、決まりません。こんな時は目をつぶって適当に引き当てるのに限るね!

ポスッ

何かが頭の上に乗っかる。

「……これ、おすすめ」

振り向くとそこには私の彼氏。
そう、吉川君だ。
おすすめの本を持って来てくれたらしい。
何か、吉川君の顔を見ると朝の事とか色んなことを思い出してしまう。
キューっと体感温度が急上昇する。

メモ帳を出して

【ありがとうございます】

を見せた。

「……こんな所で会うとか運命だと思わない?この広い図書室で」

う、運命とか……。運命とか言わないで!恥ずかし過ぎる。
キューっと体感温度が急上昇する。ヤバいです。

「たまたまじゃない気がする。俺はね」

【そだね】

でも、恥ずかしいだけじゃなくて嬉しいから笑ってしまう。しょうがないよね。

本を受け取って表紙を見る。アドベンチャー、すなわち冒険系だ。
やっぱり男の子ってこんなの読むんだね〜。まぁ、私も好きなんだけどね、アドベンチャー。

「じゃ、また放課後」

【バイバイ】

あぁ、やっぱり1日って長い。
楽しい時間はこんなにも早く過ぎるのに…。
早く放課後にならないかな…。

今日は何度も何度も時計ばかりを見ていた。