無声な私。無表情の君。

なんとか片付けを終えて教室へ入る。

「おはよー。愛、今日は遅かったね」

手を振って《おはよ》って言ってみる。勿論、声は出ないけど。
かすかすの声が出る。気持ち悪い。
けど、これもリハビリですから。
私、頑張ってますから。

「どったの?寝坊?」

フルフル

【バスケ部のマネージャー体験してた】

「え!?この時期に入るの!?すごいな、アンタ」

【決まった訳じゃないけどね】

「ふーん。さては私を差し置いて彼氏でも作ったな~!コノヤロ~」

流石、優香。お察しがよろしい事で。
つか、彼氏いるよね。優香にも。

「まぁ、座りなよ。その首から下げてる物についても聞いてあげるからさっ!」

【別に頼んでないよ】

「いいの、いいの!でさ、それ何?」

【貰った】

嘘ではない。事実だし。しかも、親友に嘘はなるべくつきたくない。

「バスケ部の人だと岡崎君とか?結構評判いいよね。あの人」

あ、そっか。優香は私が吉川君とぶつかった事は知らないんだ。男子とぶつかったってだけで。

【もし、付き合ってるとしたらどう?全然合わないでしょーが】

「え?違和感ないカップルだと思うけど?私は」

【どの道付き合ってないけどね笑】

「なんじゃそりゃ。まぁ、深追いはしないよ。仲良くやってやりなさいよ」

【ありがと、ゆうか!アドバイス貰うかも】

「愛はそのままいれば大丈夫だよ。可愛いから」

可愛い?私が?皆、視力大丈夫なのかな?いや、感覚神経すら危ういと思うよ?

辛い事ばかりだった学校生活。
でも、今は楽しい事ばかりに感じる。
神様も私の事ちゃんと見えてるんだ。
今だけ、今だけでいいから幸せな時間をください。
2度と忘れないような思い出にしてみせるから……。