待って、待ってよ。

私は彼に向かって走った。

タッタッタッタッ

ギュウウウ

「え!?」

思いっきり抱きつきました。仕返しのつもりで。

「いいのか?俺で」

吉川君の顔は見えない。でも、少なからず動揺してるみたい。
声のトーンですぐわかる。

コクコク

思いっきり笑って頷いた。

「そっか、はは、愛。嬉しい」

わしゃわしゃ頭を撫でてくる。

いつもそれぐらい笑ってればいいのに。でも、独り占めしたい自分がいる。複雑だ。

その後、私たちはそれぞれの家に帰った。私は何だか落ち着かなくて、その日は夜遅くまで起きていた。