無声な私。無表情の君。

目が覚めると私はベッドの上で寝ていた。でも、自分のじゃない。誰の?

私の視界に最初に目に入ったのは_____

「.........ん、やっと起きた.........」

吉川君だった。

正直、驚いた。私の最新の記憶では私を置き去りにして帰っていたはずだった。
しかし、ここは吉川君の家?

「あ、ここ、俺の家だから」

なるほど。そこまでは理解した。
あと、時刻も。って今8:28!?ウソでしょ!?

「これ、食べてって」

差し出されたのは、オムライスだった。
お腹が減っていることもあり、その匂いが食欲をそそった。

メモ帳を取り出して、そそくさと筆談する。

【いいの?】

「うん。変なもん入ってないし」

こうなれば、遠慮なくいただく。

【ありがとう】

「いいえ」

オムライスの前で手を合わせる。
そして、一気にスプーン一杯のオムライスを頬張る。美味しい!

「旨いか?」

コクコク

「良かった」

無表情に注目し過ぎて見逃すところだったが、つまり、このオムライスは吉川君手製のオムライスなんだな。良かったって事は。つまりね。