公園に着いた時、私は衝撃的な光景に出くわした。

「ぎゃっはははははは!!」

「やばいわー!楽しすぎっ」

「抵抗もしねぇできもちわりぃなぁ!
もしかしてMのお方ですかぁ?ないわぁー」

男3人が康介を一方的に殴ったり蹴ったりしているのだ。
完全なるイジメ。
しかも3対1って……。
最低…いや最悪。
胸くそ悪い。
そうやって自分よりも低い身分作って優越感でも得てるつもり?
結局、男も女も一緒って事ですか?
見てて腹が立つのだが。

どうやら、みぞおちに蹴りが入ったらしく康介は悶絶していた。

「かはっ……う、…うぁ……」

「え、なになにw吐くの?吐いちゃうの?」

「ガッツリみぞおち入ったなー」

「うわぁー。こぉゆぅの見てるとそそられるよねぇ」

この野郎ども、言わせておけば…。
私も過去に髪の毛引っ張られたり、トイレに顔突っ込まれたりはしたけど、身体に傷が残るまでやられた事はない。

「〜〜〜〜〜〜っ」

「~~……………」

ダメだ。
声を出そうにも、声が出てこない。
どうしよう。
助けないといけないのに。
まだ植木に隠れている私はただ見る事しかしていなかった。

何でやり返さないのよ!
クソっ。見てる方がハラハラする。
康介が死んじゃうよ。
腕だってあんなに……。
リストバンドを見ると胸が締め付けられるように痛かった。

その時、1人が康介の胸ぐらを掴んで思いっきり康介の顔を殴った。
康介の唇が切れたのか、口の中が切れたのかは分からないが口元には確かに血が付いていた。
吐血じゃない事を祈った。
神様!お願い!

そして、康介が殴られたその瞬間、私の中の何かがブチッと大きな音を立てて切れた。

3人の中の1番弱そうな奴に向かって全速力で走って行った。
そして、そのまま持っていた鞄に勢いをつけて思いっきり顎に叩きつけた。

「ぐごぉっ!………ってぇな!」

ドシャァと音たてて吹っ飛んでいった。
体つきが細かったので余計飛んだんだと思う。

「……え…あ、愛?」

康介は見た事もないくらいの驚いた顔をしていた。
まぁ、そりゃあそうよね。
そんな事より私、今ブチギレ状態だから。
思いっきり康介までもを睨みつけて

(後で話があるから)

と言っておいた。
何話すんだろうね。私。

「こんのクソアマァ…。吉川の彼女か!?」

そんなの今関係ないでしょうが。
どうしよう、私、出てきたはいいがケンカとかまともにした事ないよ。
身体が勝手に動いてくれればいいんだけども……。

「シカトぶっこいてやがる…。
なめてんのか!あぁん!?」

フルフル

シカトしてる訳じゃないです。
ちゃんと聞いてます。
なめてないです。
あぁー、やばい。

殴られる!

反射的に目を閉じてしまう。
閉じても何も得しないのに。
激痛を覚悟したその時_____