ある休日の事。
午前中のみの練習だったので私と東雲君はデートをする約束をしていた。
場所は康介と行ったアウトレット。
私にとっては思い出深い場所だった。

「先輩!早かったですね」

また遠い所なのに手をブンブン振り回しながらこっちへ向かってくる東雲君。
お互いまだ呼び方を変えてはいないし、上下関係だってそのまま。
カレカノって感じは全然しない。
まぁ、実際そうなのだが。

【おはよ】

昼だけど使ってみた。

「おはようございます。って昼ですけどね。
時間、ちょっと早いですけど行きましょうか」

コク

手を強引に繋がれて、私たちはデートを始めた。
楽しくない、楽しくないデートを。

丁度3:00ぐらいにカフェに行った。
コーヒーの香り……。
懐かしいな……。
あの日の思い出が蘇る。
胸がキュウッと締め付けられているような感覚になって苦しかった。

「先輩?」

【なに?】

突如話しかけて来たのでビックリした。
まぁ、ボーッとしていた私がわるいのだが。

「何かあったんですか?今日」

【何もないけど?】

今日はデートがあったんでしょうが。
でも、私にとってはどうでもいいこと。

今日は康介が学校を休んで3日目になる。
そう、康介は金曜日から学校に来ていない。
何かあったの?って私が康介に聞きたいけど今更メールするのもなんだし……。
放置ってわけ。
心配なのは心配なんだけどね。
私に心配する権限すら今は無さそうだからさ。

「ほんと?」

【ほんとだよ】

「信じますよ?」

【信じなさいw】

「はーい」

カップルっぽい会話が繰り広げられる。
あんまり、こんなのは好きじゃないんだけどさ。