無声な私。無表情の君。

練習はいつもどおりに。
今日は稔人君が仕切ってくれた。
なんだかんだでリーダーシップを見せてくれた。
ちょっと違うのは切り替えの早さ。
ちょっと今日だけミスの多い部員がいても、持ち前の明るさで

｢ドンマイ！次々！｣

励まされた部員も楽しくバスケをしているようだ。
康介ではこうはいかない。
多分、康介なら今のプレイの分析とかやりそう。
うん。絶対にやるな。

ミニゲームなんかもして、楽しそうにバスケをしてた。
なんか、いいなぁって思った。
なにがいいのかは私にもわからない。
ただ、そう思った。

｢では、終わりたいと思いまーす。礼｣

稔人君は仕切る事のに相当疲れたようで、最後は脱力しながら終わった。
テンションの上げ下げが……。
帰ったらすぐに寝るんだろうなぁ。
あの様子だと。
お疲れ様でした！

その後、私は片付けをしながら考えていた。
今日の事。先週の事。
優香の事、千藤の事。
稔人君に、東雲君の事。
それと、康介の事。

世界は広くて、大きくて。
時間は長くて、大切だって。
私という存在の小ささ。

今日は色々な事に気付かされた。
皆のおかげ。
皆がいてくれたから、今の私がいるって。
害虫と呼ばれた私に居場所をくた皆。
面白くて、時々変になるけど優しい皆。
私のかけがえのない存在だよ。
出会ってくれてありがとう。
私ってこんなにも幸せ者だったんだね。
バカで気付くのが遅かったけど、今なら確信してる。
本当に、本当にありがとう。